奄美中央病院医師 川畑清朗
 

患者さんが元気になって戻ってくることがよろこび


奄美中央病院医師 川畑清朗

 私が勤務している奄美中央病院は、奄美大島名瀬にある110床の病院です。内科、外科、小児科の3科で10人の医師がいます。 私はここ奄美大島の出身です。小学校5年生のとき、真珠腫性中耳炎の手術を受けました。そのときの耳鼻科の先生との出会いが、医者になりたいという動機づけになりました。

 
 1981年、九州大学を卒業して、大学のすぐ近くにあった千鳥橋病院に入職。民医連医療を教わりました。初期研修の3年目に奄美中央病院で3ヶ月間研修をさせてもらいました。当時(1983年)奄美中央病院は約50床でしたが、頭部CTがあり(譲り受けたという旧いCTでした)、心臓カテーテル検査をスタートさせていました。ここで、「地理的離島はあっても、人の生命(いのち)に離島があってはならない」の理念にはじめて触れることになりました。
 

 1980年代以降、医療制度は次々に変わって行きました。老人医療費の有料化、国保税の負担増、健康保険本人の負担開始等々。国保未納の増加、保険証取り上げ問題などが発生しました。病院経営も厳しくなりました。差額ベッドや混合診療は、医局でしばしば議題になりました。
「差額ベッド代を払おうと、混合診療で自費診療分が増えようと、まったくこたえない人たちもいます。そういう人たちの立場で制度を考えるか、それとも、弱い人たちの立場で考えるかです。」ある先輩医師が言った言葉です。私にとっては目からウロコの発言でした。 あの論議を通じて私は民医連に確信をもったと思っています。

 いま循環器科を担当しています。弁膜症や虚血性心疾患の手術が必要な症例が年間4〜6件あります。島には心臓外科の施設がないので、島外に紹介することになります。患者さんや家族の交通費や宿泊費も考慮しなければなりません。それだけに、手術が成功して帰ってこられたときのよろこびはひとしおです。

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